とまり木

時には枝のように、時には鳥のように

savamiso

5月のこと③ 〜奥入瀬から三陸へ。


やっと、ひとつ、長い文章が終わりつつある。終わりつつあるなんて言って、これまただいぶ経つのだけれど、締切までまだ少し時間があるので、ギリギリまで推敲したいと思っている。

そうそう、5月の話だった。もう、7月が終わろうとしているのだけれど。

種差海岸のあと、奥入瀬渓流へ向かった。渓流の傍を散策したが、こんなふうに近くを歩いたのはいつぶりだろう。天気は申し分なかった。十和田湖を源流として、14kmぐらい流れる渓流である。地形や標高もあるのだろうけど、この森を見ていると、やっぱり福島で見る森とは少し違う感じがする。懐かしいというか、馴染みのある森の雰囲気なのだ。一つひとつ、植物の種類を調べると、その理由もわかるのかなと思ったりもしたけれど、よくよく考えてみれば小さな頃から見慣れた風景だからというだけかもしれない。

翌日、義父のもとを発ち、三陸へと向かった。八戸をから曲がりくねった国道45号を走りながら、リアス式海岸の風景が、なぜ風光明媚と言われるのか。これでもかと見せつけられる。海は穏やかだった。しかし、ところどころに残る浅くはない津波の傷を見るにつけ、この穏やかな海との差が頭の中でうまく埋まらず、車を走らせると出てくる「この先津波浸水区間」の標識を見ては、何とかその自然の猛威を想像しようとした。

が、当然のことながら、うまく想像できるものではないし、できたところで想像の域を出ないのだし、目の前の風景を楽しめばいいと思うようにした。本当に美しいのだ。それが、多くの犠牲を伴ってできている風景であるにせよ、私としてはこの美しさや豊かさから始めたいと思った。それが海への敬意であり、何より嘘のない気持ちなのだ。

そんな感じでつづきます。

 

-savamiso
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