とまり木

時には枝のように、時には鳥のように

savamiso

5月のこと② 〜種差海岸のことなど。


5月の旅は続いたのだけれど、もう少しこの種差海岸でぐずぐずしていたいのである。曲がりくねった道を抜けると突然表れるのがこの芝地である。聞けば、この芝は天然のものであるそうだ。春先の柔らかい芝と風に吹かれながら、岩礁を眺める。

もともとは県立自然公園であったのが、震災後に青森から宮城にいたる海岸線を「三陸復興国立公園」として再編成されたのを契機に、この中に組み込まれたそうである。もう少し散策したい感じもしたけれど、二日酔いの頭がそれを許さなかった。

ちなみに司馬遼太郎がこの場所をかの『街道をゆく』シリーズの中で「どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした。」と褒めちぎっている。南部はどうのこうのと言っていた津軽人であるが、誇らしい気持ちである。勝手なのは承知だ。いま住んでいるいわきの詩人・草野心平もこの地に来たことがあるそうで、種差海岸という作品があるそうだ。文人墨客が好んだ海岸のようである。

「種差」という地名。何となく珍しい響きだなと思っていたら、アイヌ語の「タンネエサシ」が語源であるらしい。エサシは北海道のしっぽの江差町と同じ、岬の意味である。タンネは長いという意味。長い岬という意味だそうだ。

ちなみに、八戸は相馬の松川浦まで続く「みちのく潮風トレイル」のスタート(ゴール)地点でもある。総距離700キロのこの道、いつか歩いてみたいと思うのである。またしても絵日記のような記事だけど、そんな感じで。

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