とまり木

時には枝のように、時には鳥のように

10marigi savamiso

なんだかんだで最後の夜だ。


おそらくはもう、今日が事実上、いわき最後の夜であった。また、何かの拍子に戻ってくることがあるかもしれないが、とりあえず東京からこの街に来て、生活をしてきた一つの流れの終わりだ。もうこんなふうに、日常の中で迎えるいわきの夜は来ないのだ。そう思うと、いろんなことを考えた。

この街には、感謝しかない。流れ者も流れ者、どこの馬の骨ともしれない私たちを、受け入れてくれた温かいみなさん。こうして、私たちにとって、大切な場所がまたひとつ、この地球に増えたことが本当に嬉しい。

きょうは会社の最終出勤日で、飲み会であった。いわき駅の前を代行で通ったとき、この駅に初めて降り立った、あの、不安と期待が入り交じった気持ちを思い出した。東京から出てきて、見ず知らずの街。誤解を恐れずに言えば、あのとき、僕らは、確実にふたりだけだった。妻と僕。これから始まる新しい暮らしへのわくわくと、不安。でも、僕たちが選んだ道は、間違いじゃない。それだけだったといっても過言ではなかったかもしれない。当時、私たちは、結婚すらしていなかった。

そして、僕たちは、この街で結婚し、子どもができた。よくよく考えれば日本中探しても、僕らが結婚して、子どもを授かった街は、このいわきしかないのである。それは、必然的にこの街が僕らの中でひとつの起点になっていくということを意味している。

本当に本当に、ありがとう、いわき。僕は思った以上に感傷的になっているが、この街が、好きだ。そして、願わくばこれからもずっと、関わっていたいと思う街である。そういう意味で、今後ともどうか、よろしくお願い致します。

 

-10marigi, savamiso